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たかはしあきら行政書士事務所

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酒類販売業免許は個人でも取得できるのか?難易度や注意点を解説

お酒に関するビジネスを行うためには酒類販売業免許の取得が必要となります。最近では副業が認められる企業が多くなってきたこともあり、個人として免許を取得したいといった方も多いでしょう。

そうした方のお話を伺うと「個人や個人事業主として酒類販売業免許が取得できるのか?」「法人と比べて免許が取りにくいのではないか?」といったご相談やご不安の声をよくお聞きします。

そこで「個人として免許取得が可能なのか?」「個人での免許取得と法人での免許取得のどちらの方が良いか?」「個人として申請する上で気を付けるべきポイント」を解説していきます。

この記事を書いた人

髙橋 享(行政書士)

髙橋 享(行政書士)

  • 神奈川県藤沢市の行政書士。主に神奈川県・東京都の事業者様をサポート。
  • 得意領域は酒類販売業免許、古物商許可などの許認可申請。

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目次

個人でも酒類販売業免許が取れるか?

個人でも免許取得は可能

まず結論として、個人での免許取得は可能です。

「個人の方が法人よりも厳しく審査される」といったこともなく、個人でも法人でも同じように審査されます。

このように個人での免許取得は可能ですが、当然ながら酒税法で定められた酒類販売業免許を取得するための要件を満たしていることが前提となります。

個人申請でも問題がない理由

例えば一般論として法人の方が個人よりも信用があると言われることが多いかと思います。

その代表例としては銀行からの融資が挙げられるでしょう。

※とはいえ個人事業主であっても融資が認められるケースは数多くあり、一概には言えない部分になります。
※なお許認可関連で言うと、例えば障害福祉系の分野では個人が事業として行うことはできず、法人しか認められていません。

一方で酒類販売業免許は制度上、個人を制限するような定めはなく、個人申請でも特段問題にはならないと言えます。

個人で取得する事例

個人で取得されるケースとしては

  • 自宅を営業所としてお酒のネット販売事業を行う(通信販売酒類小売業免許)
  • 個人事業主として店舗での物販事業を行なっている方がお酒の物販を新たに開始する(一般酒類小売業免許)

といったものが挙げられます。

個人と法人のどちらで酒類販売業免許を取得すべきか?

個人と法人のどちらが良いか?

一概にどちらが良いと言い切ることはできません。ただし1点言えるとすれば、今回免許を取って行う事業を「法人と個人のどちらとして実施するつもりか?」という部分です。

免許は申請者に対して与えられるため、例えばAさん個人で免許を取得したとしても、Aさんが代表者となっているX株式会社で酒類販売事業を行うことはできません。

申請上の話だけではなく、実態として(対取引先との関係も含めて)個人と法人のどちらが主体となって酒類販売事業を行うことになるのか?という観点で判断いただければと思います。

法人の方が良いケース

一方で「法人での申請を検討すべき」というケースもあります。それが申請者の経営経験等が不足していると税務署から指摘を受けたケースです。

個人の場合は申請者本人の経験しか考慮されないのに対し、法人の場合は役員全員の経験等が審査時に考慮されます。

そのため「個人では要件を満たさない場合でも、法人であれば満たせる」といったこともあり得るのです。

免許申請における個人と法人の相違点・比較

一般酒類小売業免許でいうと、基本的には要件や必要書類の多くが共通のものとなっています。

相違点を挙げるとすれば、以下のようなものになります。

  • 履歴書:個人だと本人分のみ、法人だと役員全員分必要
  • 定款:法人の場合のみ必要
  • 源泉徴収票:個人で確定申告を3年分行っていない場合は必要

その他申請書類の記載内容が若干異なるものの、そこまで大きな違いはないと言えます。

参考:法人成りについて

個人として酒類販売業免許を取得している者が、法人として免許を取得し直すことを法人成りと言います。

法人成りをするためには「現状の個人としての免許の取消申請」と「法人としての新規の免許申請」を同時に行う必要があります。

これらは税務署との事前のやりとりが必要となります。仮に事前相談等をせずに取消申請や新規の免許申請を行った場合、免許期間に空白が生まれ、酒類販売ができなくなる期間が発生する可能性があるので注意を要します。

個人申請時の注意点・苦戦しがちなポイント

ここまで個人であっても法人とほぼ同様に免許が取得できる旨をご説明してきましたが、個人での免許申請検討時に注意すべきポイントをお伝えします。

営業所の使用権限

「営業所」とは酒類販売を行う場所のことを言います。

例えばコンビニの場合はコンビニの店舗が営業所に、飲食店の場合は飲食店の店舗が営業所となります。

一方で個人の場合、特にネット販売をメインでやろうとしている場合は、自宅を営業所として申請を検討するケースも多いかと思います。

営業所については申請時に使用権限(申請者が酒類販売を行う者として正当な権利を持っているかどうか?)を確認できる資料の提出が求められます。例えば賃貸であれば貸主に同意書や使用承諾書等を書いてもらい、それを添付資料として申請時に提出します。

個人の自宅かつ賃貸の場合、基本的には使用目的が「居住用」となっているはずです。

この場合オーナーや管理会社に対して「居住用となっているが、酒類販売業を行ってもよい」といったような書面を書いてもらう必要があります。

また賃貸ではなく、自宅の分譲マンションを営業所として使用する場合は、マンションの管理組合の同意書や使用承諾書が必要となります。

こうした書面の用意が個人が免許取得をする際の実質的なハードルとなっています。

なお当事務所に申請代行をご依頼いただいた場合は、賃貸オーナーやマンションの管理組合の承諾を得るにあたってのアドバイスや書類フォーマットのご提供等などのサポートをさせていただきます。

与信状況

こちらは法人も同様ではあるのですが、酒類販売業免許を取得するためには「現時点で未納の税額がないこと」と「2年以内に滞納処分を受けたことがないこと」が条件となります。

未納や滞納処分を受けた経験がある場合は、税金の納付が必要になったり、一定期間を経過するまで待つ必要が生じます。

仕入れ先の確保

酒類販売業免許を行うにあたっては、「いつかお酒のビジネスをやりたいから、先に免許を取っておく」といった類のものは認められず、申請時には具体的な事業計画書が求められます。

その事業計画の中には仕入れ先の社名や所在地を具体的に明記する欄もあります。

そのため、免許取得前に仕入れ先となり得る酒類の卸売業者または酒類の製造業者にアプローチし、取引が可能な旨を確認しておく必要があります。

まとめ

  • 個人でも酒類販売業免許は取得できる。
  • 個人と法人の申請に有利不利などの大きな違いはなく、基本的にはどちらでもOK。
  • ただし個人申請の場合は「営業所の使用承諾が得られるか?」「税金の滞納等がないか?」「仕入れ先が確保できそうか?」といった点は早めに確認しておくべき。

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