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たかはしあきら行政書士事務所
神奈川県藤沢市鵠沼桜が岡3-17-24
通信販売酒類小売業免許の取得を考えているけれど、手続きが複雑そうで不安…そんな方のために、この記事では通信販売酒類小売業免許の概要から申請、許可取得までの流れを分かりやすく解説します。
髙橋 享(行政書士)
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通信販売酒類小売業免許とは、酒類(お酒)を2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として通信販売するために必要な免許です。
この免許を取得することで、インターネット上のオンラインショップで酒類を販売することが可能になります。
無免許で酒類を販売すると酒税法違反となり、罰則の対象となるため、販売する場合は必ず取得する必要があります。
酒類販売業免許は大まかに分類すると、一般消費者・飲食店へ酒類販売する「酒類小売業免許」と酒類販売業者・酒類製造業者へ販売する「酒類卸売業免許」の2つに分かれます。
そして「酒類小売業免許」は更に3つの区分に分けられます。
今回説明する「通信販売酒類小売業免許」は、「酒類小売業免許」のうちの1つです。
「特殊酒類小売業免許」はイレギュラーな営業形態のため、お酒を小売販売したいと考えた場合は「一般酒類小売業免許の取得」「通信販売酒類小売業免許の取得」「両方の免許の同時取得」のどれにすべきかを検討することになります。
一般酒類小売業免許と比べると「取り扱い可能なお酒の品目に制限がある(=全ての品目のお酒を取り扱えない」ことはデメリットになりますが、「全国の消費者を対象とした通信販売ができる」ことは免許取得の大きなメリットになります。
免許取得後に進めていきたい事業内容や事業形態に合わせて適切な免許区分を判断しましょう。
通信販売酒類小売業免許の販売先は「消費者」と「飲食店」です。
飲食店への販売は「業務卸」と呼ばれることもありますが、酒類販売業免許の区分としては卸売免許ではなく、小売免許になるのでご注意ください。
仕入先は「酒類製造業者」または「酒類卸売業者」に限られます。
同業となる「酒類小売業者(酒屋など)」から仕入れることはできません。
なお申請書類に仕入先を記載する欄がありますので、免許取得前の申請時点において仕入先の目処を立てる必要があります。
通信販売免許だと輸入酒は全ての品目を取り扱えますが、国産酒については制限があり、大手メーカーのものは取り扱うことができません。
一般酒類小売業免許ではメーカー規模やお酒の酒類を問わず、全ての品目の酒類を販売可能なため、ここが通信販売と一般酒類小売業免許の大きな違いとなっています。
免許名的に当然ではありますが、一般酒類小売業免許ではできない酒類の通信販売が可能です。
ただし、酒税法上の通信販売の定義としては「通信販売=2都道府県以上の消費者等を対象としたもの」となるため、例えば近隣への配達(1都道府県に限った通信販売)を行う場合は一般酒類小売業免許の取得が必要な場合もあります。
以下のような場合、通信販売酒類小売業免許の取得が必要です。
ただし「県境などの酒屋さんで複数の都道府県の消費者や飲食店に対して、配達販売・出前販売をする」ケースでは、対象が自己の販売場の商圏であれば、一般酒類小売業免許による販売も可能とされています。
このようなイレギュラーケースでは申請前に税務署に相談し、「一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許のどちらを取得すべきか?」について確認を取っておくべきでしょう。
通信販売酒類小売業免許の取得には、いくつかの注意点があります。
税務署管轄ということもあり、直近で税金を滞納している場合は免許を取得できません。
免許申請時に物件の用意が必要です。
・通信販売のため来店できるような店舗は不要だが、受発注・在庫保管・発送などを行う事務所が必要
・実態のないバーチャルオフィスは不可
・賃貸借契約書の他、使用承諾書をもらう必要あり
無免許で酒類販売を行った場合は刑罰の対象となります(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。
通信販売酒類小売業免許を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
これらの要件は、大きく分けて「人的要件」「場所的要件」「経営基礎要件」「需給調整要件」の4つに分類されます。
【酒税法10条1号から8号関係の要件】
- 申請者が酒類等の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けた者である場合には、取消処分を受けた日から3年を経過していること
- 申請者が酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがある法人のその取消原因があった日以前1年内にその法人の業務を執行する役員であった者の場合には、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していること
- 申請者が申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けたことがないこと
- 申請者が国税又は地方税に関する法令等に違反して、罰金の刑に処せられ又は通告処分を受けた者である場合には、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過していること
- 申請者が、二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(20歳未満の者に対する酒類の提供に係る部分に限る。)、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫又は背任の罪)又は暴力行為等処罰に関する法律の規定により、罰金刑に処せられた者である場合には、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること
- 申請者が禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること
【酒税法10条9号関係の要件】
- 正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていないこと
【酒税法10条10号関係の要件】
- 免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合のほか、その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないこと
【酒税法10条11号関係の要件】
- 酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合に該当しないこと
一般酒類小売業免許の取得までの流れは、大きく分けて以下の7つのステップに分けられます。
各ステップにおける手続きや必要事項をしっかりと理解し、スムーズな免許取得を目指しましょう。
まずは、どのような酒類を販売したいのか、どのような事業計画で販売していくのかを明確にしましょう。
販売する酒類の種類(ビール、日本酒、ワインなど)、販売方法(店舗販売、通信販売など)、仕入先、販売価格、年間販売数量などを具体的に検討し、事業計画書にまとめます。明確な事業計画は、税務署への説明や審査においても重要となります。
申請前に、管轄の税務署に事前相談することを強くお勧めします。事業計画の内容、必要書類、申請手続きなどについて確認することで、後々の手続きの遅延や修正を防ぐことができます。
税務署から交付される申請書に必要事項を記入し、必要な添付書類とともに提出します。
申請書には、氏名、住所、事業内容、販売場所など、詳細な情報を正確に記載する必要があります。添付書類は種類が多いため、事前にリストアップし、漏れがないように準備しましょう。
税務署にて提出された申請書と添付書類に基づいて審査が行われます。申請内容に不備や不明点がある場合は、税務署から連絡が入りますので、迅速に対応しましょう。
審査が完了すると、税務署から免許通知書が交付されます。免許通知書が免許取得を証明する書類となるため、大切に保管しましょう。
免許通知書とともに納付書が郵送されるので、金融機関にて支払いましょう。
晴れて酒類の販売を開始することができます。法令に則って適切に酒類の販売を行いましょう。特に申請内容の変更が生じた場合の届出や日々の記帳は忘れずに実施するようにしましょう。
申請書には事業計画を記載することになりますが、取引先(仕入先・販売先)の欄があるため、申請時点である程度取引先を確保しておく必要があります。
なお販売先についてはインターネット上で不特定多数に通信販売を行う場合は「ホームページを閲覧した全国の一般消費者」といった記載も可能です。
一般酒類小売業免許の申請で肝になるのが、手引きに記載のない添付書類です。
下記に記載しているものは必ず提出しなければいけないものではなく、あくまでも参考例となります。最終的にどういった書類を出すべきか?出さなくてもいいのか?については、個々のケースや管轄税務署との調整内容によって異なってくるため慎重に確認していく必要があります。
特に物件に関する資料(使用承諾書等)の入手に時間がかかるケースが多く、場合によっては免許取得を断念せざるを得ないこともあります。そのため免許申請を検討する場合はまず物件に関する確認から進めるべきでしょう。
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