古物商がメルカリで仕入れる時に本人確認は必要?

この記事の著者

髙橋 享(行政書士)

髙橋 享(行政書士)

  • 神奈川県藤沢市の行政書士。主に神奈川県・東京都の事業者様をサポート。
  • 得意領域は古物商許可、酒類販売業免許などの許認可申請。

これから古物商許可を取ろうとしている方の中には、フリマサイトのメルカリで仕入れようと思っている方も多いでしょう。

そこでメルカリから仕入れる際の注意点やそれらを踏まえた現実的な対処方法を解説していきます。

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目次

古物商に求められる本人確認義務

本人確認が必要なケース

古物商は古物を取り扱う際に、以下のようなケースで本人確認をすることが求められています。

  • 古物を買い受ける(仕入れる)場合
  • 古物を交換する場合
  • 古物を売却 or 交換の委託を受けようとする場合

確認する内容

本人確認では「住所、氏名、職業、年齢」を確認します。これらを確認した上で、古物台帳に記録しなければなりません。

なぜ本人確認が必要なのか

古物営業法は「盗品の流通を防止し、窃盗罪などの犯罪を抑止すること」を目的としています。

第一条 この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。

古物営業法

これは古物商が仕入れ時に「誰から買ったか?」を明確にすることで、盗難事件発生時に盗品や犯人を追えるようにするためです。

メルカリ仕入れでも本人確認が必要

フリマサイトのメルカリでの仕入れも原則通り本人確認が必要

メルカリは個人の方が気軽に不用品や中古品を売買できるサービスです。一般の方が中古品を個人利用(転売目的ではなく、自分で利用すること)を目的としてメルカリで購入する場合、古物商許可や取引相手の本人確認は必要ありません。

ただし、業として古物を扱う古物商は、メルカリのようなフリマ形式の取引であっても、原則として本人確認を行う必要があります。

「新品」「未使用品」であっても本人確認が必要なので注意

メルカリでは、状態の良い「新品」や「未使用品」も多数取引されていますが、古物営業法上はどちらも「古物」になります。これは古物営業法において、「いったん使用する目的で購入されたものは、使用の有無に関わらず古物とする」とされているためです。

家電量販店で自分が使うためにドライヤーを買ったが、一度も使わずにメルカリに出品した

一般的には「新品 or 新品と同等」とされるが、古物営業法上は「古物」

そのため、商品の状態に関わらず、古物商はメルカリの取引において本人確認を行わなければなりません。

メルカリ仕入れでの本人確認方法

メルカリでの取引はインターネットを利用した非対面取引

古物商の取引形式は対面取引と非対面取引に区分されています。対面取引とは「実際に会って行う取引」であり、非対面取引とは「インターネットや電話などを使って会わずに行う取引」です。

例えば、店舗を設けているリサイクルショップで不要品の買取をする場合は対面取引ですが、メルカリでの取引は最初から最後まで取引相手と実際に会うことがないため非対面取引に該当します。

非対面取引における本人確認方法

非対面取引で本人確認を行う場合、法令で本人確認方法が定められています。そのため、「電話等で口頭確認する」、「郵送やFAXで身分証のコピーを送付してもらう」といった不十分な方法では、古物商としての本人確認を行ったとは認められません。

以下が法令で規定されている本人確認方法となります。

電子署名を用いる方法

  • 相手方から電子署名を行ったメールの送信を受ける
  • 相手方から地方公共団体情報システム機構が発行した電子証明書と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受ける
  • 相手方から特定認証業務を行う署名検証者が発行した電子証明書と電子署名を行った住所、氏名、職業及び年齢に係る電磁的記録の提供を受ける

印鑑登録証明書を用いる方法

  • 相手方から印鑑登録証明書及び登録した印鑑を押印した書面の送付を受ける

本人限定受取郵便物を用いる方法

  • 古物商が相手方に対して本人限定受取郵便物等を送付して、その到達を確かめる
  • 古物商が相手方に対して本人限定受取郵便物等により古物の代金を送付する契約を結ぶ

住民票の写し等を用いる方法

  • 相手方から住民票の写し等の送付を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめる
  • 古物商が相手方から住民票の写し等の送付を受け、そこに記載された本人名義の預貯金口座等に古物の代金を入金する契約を結ぶ

身分証明書等を用いる方法

  • 相手方から身分証明書、運転免許証、国民健康保険被保険者証等のコピーの送付を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめ、併せてそのコピーに記載された本人名義の預貯金口座等に古物の代金を入金する契約を結ぶ
  • 相手方から運転免許証、国民健康保険被保険者証等の異なる身分証明書のコピー2点又は、身分証明書等のコピー1点と公共料金領収書等の送付を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめる

ID・パスワードを用いる方法

  • IDとパスワードの送信を受けること等により、相手方の真偽を確認するための措置を既にとっていることを確かめる

ソフトウェアを用いる方法

  • 古物商が提供したソフトウェアにより、相手方から運転免許証等の身分証明書を撮影した画像の送信を受け、そこに記載された住所宛に簡易書留等を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめる
  • 相手方から運転免許証等のICチップ情報(住所、氏名、年齢、生年月日)の送信を受け、当該情報に記録された相手方の住所宛に簡易書留等を転送しない取扱いで送付して、その到達を確かめる
  • 古物商が提供したソフトウェアにより、相手方から容貌を撮影した画像の送信を受け、及び運転免許証等の本人確認書類の画像の送信を受ける
  • 古物商が提供したソフトウェアにより、相手方から容貌を撮影した画像の送信を受け、及び運転免許証等の写真付身分証明書等のICチップ情報の送信を受ける

どの本人確認方法もメルカリで行うことは事実上不可能

そもそもメルカリは古物商のような業者ではなく、一般の方が取引することをメインとして想定されたサービスです。また個人間取引の安全性を担保するため、匿名取引が中心となっています。そのような中で「本人確認をさせてください」と依頼しても断られるケースがほとんどでしょう。

そのためメルカリ取引で本人確認をすることは現実的でないと言えます。

ネット上でOKとされる解釈は誤り

ID等の記録だけではNG

ネット上には「取引相手のIDを記録すればOK」「古物台帳にはメルカリと記入している」「メルカリ側が登録時に本人確認をしているから、取引時の本人確認は不要」といった見解が見受けられます。

しかしながら、これらの方法は法令の規定を満たしておらず、確認内容(相手方の住居、氏名、職業、年齢)および確認方法に問題があるため、本人確認をしたことにはなりません。

本人確認を怠った場合の罰則

6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

古物商には本人確認が求められますが、本人確認をしない場合は古物営業法第15条違反になります。

違反した場合、古物営業法第33条で「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の罰則が定められています。

第十五条 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置(=本人確認)をとらなければならない。

第三十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条第三項、第十五条第一項、第十八条第一項又は第十九条第三項若しくは第四項の規定に違反した者

古物営業法

本人確認が不要となるケース

1万円未満の取引の場合

特定品目を除き、1万円未満の取引では本人確認は不要です。
※特定品目:バイク、原付、ゲームソフト、CD、DVD、書籍など

ただし各都道府県の青少年育成条例において「未成年から古物を買ってはいけない」とされていることが多いため、本人確認が不要であっても年齢確認は必要です。結局年齢確認が必要となると、メルカリ仕入れで実施することは難しいでしょう。

自分が売ったものを、同じ相手から買い戻す場合

売ったものの買い戻しをする場合は、盗品が紛れ込む可能性が低いため、本人確認は必要ありません。ただし、このケースは不特定多数のユーザーと取引を行うメルカリ仕入れでは該当しません。

警視庁の見解

非対面取引でも規定の本人確認義務があることを周知する内容

警視庁:非対面取引における確認の方法(2022年11月24日)

オークションサイトやフリマサイトでの非対面取引でも、本人確認が必要である旨が明確に記載されています。

この点について、あくまでも東京都を管轄している警視庁の案内ではありますが、全国的に大きく見解が異なることは考えにくいため、東京都以外の古物商の方であっても「メルカリ仕入れでも本人確認が必要である」という認識を持っておいた方が良いでしょう。

古物商はメルカリをどう活用すべきか?

古物商はメルカリを仕入れ先ではなく販売先として活用すべき

古物商が古物を仕入れる際には、本人確認が必要になりますが、売却時には原則として不要です。

そのため、古物商はフリマサイト以外から仕入れることが望ましく、メルカリのようなフリマサイトは、他の仕入先と併用することで販売先として活用することが現実的です。

仕入れは古物商向けの古物市場を利用する

リサイクルショップなどを運営している場合は、自社店舗で買い取りができますが、店舗を持たない場合や副業でせどりが中心の個人事業主の場合は「どこから仕入れをすればいいか」ということで悩むかもしれません。

この場合、古物商しか参加できない古物市場を利用して仕入れることをおすすめします。「都道府県名+古物市場」で検索すれば見つかりますし、コロナ禍以降はインターネット上で取引が完結するオンライン古物市場も増えていますので、ぜひ活用してみてください。

まとめ

  • メルカリでの仕入れには本人確認が必要
  • 匿名取引がメインのメルカリで本人確認を行うことは現実的には困難
  • 本人確認を怠った場合、罰則がある(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)
  • 古物商はメルカリを仕入れ先ではなく販売先として活用すべき
  • 仕入れには古物商向けの古物市場を利用するのがおすすめ

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